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インタビュー

映画監督 松井久子さん

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『日本タレント名鑑』の歴史は私の歴史

初監督作品『ユキエ』、全国で100万人を動員した第二作『折り梅』を経て、松井久子監督が描く第三作『レオニー』は、彫刻家イサム・ノグチの母、レオニー・ギルモアの生涯。100年前のアメリカと日本を舞台に、仕事に生き、恋に生き、そして出会った運命を引き受け、授かった命とともに生きる女性の生涯を通して、「女性の自立とは 」「生きることの普遍性 」を松井監督ならではのやさしくタフな視点で描く。

作品の題材は、生活の中での「 あ、これだ!」というひらめききから。それを実現するためには、目の前の課題をひとつずつクリアしていくしかない。

私には「 次の作品は何を撮ろうか」っていつも探しているプロ意識のようなものがないんです。『ユキエ』の原作も、今回のイサム・ノグチの伝記も生活の中で何気なく読んでいて「 あ、これだ!」とひらめいたんです。「これを今映画にすることに意味がある」ってね。
スタッフ、キャスト、スポンサーすべてにおいて日米合作を目指す松井監督。あまりに壮大な構想に、大手映画会社からの支援は得られなかった。
でも“できっこない!”って言われると、燃えちゃうんですね(笑)。『ユキエ』も『折り梅』もこぢんまりとした映画としては上手くいったし、実績からいえば、三作目もそのくらいの規模ならすぐに作れたと思うんですよね。でも、『レオニー』をと思ってしまったら、どんなに大変でも、それを実現させるという目的のためにしか心も身体も動かないんです。
私は「 これを作りたい!そのためには今何をしたらいいか 」と、いつも目の前にある問題しか考えないようにしています。制作費が集まってないと前に進めないのなら、まずお金を集めることに一所懸命。自分で納得のいくシナリオを心をこめて書く。この女優に主役を演じてもらいたいと思ったら、出演交渉だけに集中してアメリカへ行く。その時々の目的をひとつだけにしておくわけです。あれもこれもと考えると、やっぱり無理、出来るわけないという気持ちになってしまいますから。私ね、人はおうおうにして、自分の限界を自分で作ってしまっているんではないか、と思うんです。でも、目の前のひとつずつクリアしていくと、結構大それたことが出来ちゃうんですよね。気がつけば、『レオニー』の映画化を思い立ってから4年も経ってしまいましたが、諦めずに頑張っていたら、最近になってやっと実現の兆しが見えてきた。粘り勝ちでしょうかね(笑)。

「 松井監督の第三作を観たい 」という声が全国に広がり、「松井久子監督の第三作を応援する会 マイレオニー 」が結成され、100名近い著名人をはじめ、全国から多くの賛同者が集まっている。今年9月にはいよいよクランクインを迎える予定。主演のレオニー役(イサム・ノグチの母)のアメリカ人女優が決まり、キャスティングも大詰めを迎える。

雑誌ライター、マネージャー、プロデューサーそして、映画監督。
それぞれの仕事はその時どきに出会った人が与えてくれたもの。
私の隣にはいつも『日本タレント名鑑』があった。

interview_ph02映画に限らず、ドラマでもそうなんですが、脇を固める役者のキャスティングってとても重要で、作品を作る前は『日本タレント名鑑』をこうやってぱらぱら見ながらイメージを膨らませています。「そうだ、この人がいた!」っていうのがよくありますね。プロデューサーとしては、いつも自分の一番近くにこの本があって。1日に一度も見ないことっていうのはないんじゃないでしょうか。
70年代に雑誌ライターをしていたころ、この俳優に取材をしたいと思ったら、まずこの本を開いて所属事務所に連絡取ってというところからはじまりました。
その頃に知り合った俳優をマネジメントするためにプロダクションを立ち上げて、マネージャーをしていた頃は、写真とプロフィールを編集部に私が送っていたのよ。ほら、ここに載っているでしょ。そしてテレビ番組の制作をやっていたときには、出演者のキャスティングで毎日開いていましたよ。
私にとって『日本タレント名鑑』は手放せない存在。『日本タレント名鑑』の歴史は、私の仕事の歴史なんです。

まつい ひさこ 映画監督・脚本家・プロデューサー

早稲田大学第一文学部演劇科卒業後、雑誌の編集者およびライターとして活躍。 1979年、俳優のプロダクション会社を設立し、複数の俳優のマネージャーを務める。 1985年にテレビ番組制作会社を設立。ドラマやドキュメンタリー番組のプロデューサーとして活躍。 1998年、『ユキエ』で映画監督デビュー。多くの映画賞を受賞し、演出力が絶賛された。第二作『折り梅』は全国で上映会が続き、観客動員が100万人を突破した。 現在第三作目『レオニー』(仮題)製作準備の傍ら、各地の上映会・講演会に精力的に参加している。

「 松井久子監督の第三作を応援する会 マイレオニー 」 http://www.myleonie.com/

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