鞘師里保、主演ドラマ・初の時代劇作品映画など話題作に続々出演 女優としても着実にキャリア積む
タレメREPORT2024年10月9日5:18 PM
かつてモーニング娘。のエースとして活躍、現在はソロシンガーとして活動する鞘師里保さん。卓越したダンスパフォーマンスと歌唱力で定評のある彼女ですが、一方女優としても着実にキャリアを積み重ねています。今月からは主演ドラマ『めんつゆひとり飯2』がスタート。11月には初の時代劇出演で大作映画『十一人の賊人』が公開されます。そんな彼女の女優としての活躍や魅力を中心に紹介します。
★モー娘。のエースとして一時代を築く 女優としても舞台で高評価
鞘師さんは現在26歳。小学生のとき、地元・広島の養成所でダンス、歌を始めた彼女。実は、モーニング娘。加入前に受けたオーディションが、音楽ではなく演技のオーディションでした。2010年に実施された『Jc & Jk 女子中高生女優オーディション』で、合格者の一人となった彼女はモーニング娘。主演のミュージカル『ファッショナブル』の公演に出演を果たしています。
そして2011年、モーニング娘。の新メンバーオーディションに改めて合格。9期メンバーとして加入します。2012年ごろからグループの新エースとして頭角を表し、次第にセンターポジションでパフォーマンスする機会が目立っていきます。
先輩の人気メンバーたちが卒業していく中で、不動のエースとして成長、グループの一時代を築きます。そして2015年末でモーニング娘。から卒業。その後はニューヨークへ留学、ダンスを学び、語学も身につけます。卒業発表をした当時はアイドルとしてパフォーマーとして旬でノリにノッている時期だったこともあり、“もったいない”という声も多かったのですが、自分の将来を考え、自らの強い意志で新しい道に進んだといいます。
モー娘。在籍中から女優活動も並行して行っていた鞘師さん。当時はグループとして出演した演劇作品が中心でしたが、特に主人公を演じた「演劇女子部ミュージカル『LILIUM-少女純潔歌劇-』」では、独特の世界観を持つ作品の中で強い存在感を示し、その演技力が高い評価を受けました。
★日本での活動再開後、女優活動を本格スタート ほっこりとしたキャラクターで当たり役の主演作
留学を終え帰国した鞘師さんは、2020年から国内での芸能活動を再開。以降はソロシンガーとして活動する一方、ドラマを中心に本格的に女優活動をスタートさせます。活動再開後の彼女のマネージャーが、映画やドラマなど演技方面に強い人であるのも大きいと思われます。
2023年ごろからは『ワタシってサバサバしてるから』(NHK)など連続ドラマへ出演するようになり、『めんつゆひとり飯』(第一シリーズ、2023年、BS松竹東急)、『推しを召し上がれ〜広報ガールのまろやかな日々〜』(2024年、テレビ東京)では連ドラ主演を果たしています。
そして『めんつゆひとり飯』の第二シリーズがこの今月から始まりました。瀬戸口みづき氏による四コマ漫画が原作。鞘師さん演じる、めんどうくさがり屋なズボラOLの面堂露(めんどう・つゆ)が“めんつゆ”を駆使し最強時短レシピ(ズボラ飯)を開発していくグルメコメディ作品となっています。
本作では、鞘師さんの可愛らしさ、ほんわかしたキャラクターが全面に出ており、またテンポのいい展開が楽しく、鞘師さんの芝居にもリズム感を感じます。
★初の時代劇作品では罪人役 彼女の人生も重ね合わせたという演技に注目
そして11月1日公開の映画『十一人の賊人』に主要キャストの一人として出演しています。特にここ最近のドラマ出演では、ほっこりした作品、役柄が目立っていましたが、それらとは一線を画する重厚な時代劇作品となっています。本作は彼女にとって初の本格的な映画出演であり初の時代劇出演となります。
明治初期、戊辰戦争のさ中、新潟・新発田藩で繰り広げられた事件・奥羽越列藩同盟への裏切り=旧幕府軍への裏切りのエピソードをもとにした物語で、新発田藩で捕えられていた11人の罪人たちが「決死隊」として砦を守る任に就き、自由と夢を賭けた壮絶な死闘を繰り広げる姿を描いています。鞘師さんはその“十一人”の罪人の一人・なつ役を熱演しています。
本作への出演は、白石和彌監督との個人面談で決まったとのことです。脚本を読んだ上で会ったとのことで、実質オーディションの意味合いだったと思いますが、面談では作品の話というよりも、鞘師さんがこれまでどういうふうに考えて、どういうふうに生きてきたかという話が中心だったと言います。その結果、本作のなつ役に抜擢が決まりました。
なつは、十一人の罪人の中では唯一の女性で女郎。前線で戦う賊軍の仲間たちを炊事などで支える存在です。演じるにあたっては、監督との面談の際に自分の人生を振り返る話が中心だったので、それをなつという役を結びつけて演じようと考えたとのことです。なつは愛していた人に裏切られたことが原因で罪を犯す役柄。実際の鞘師さんはもちろん罪を犯したり、生きるか死ぬかという渦中にいたような経験はないものの、人生の中で心が折られてしまったり、自分の思いが周りにわかってもらえなかったり、そういう実際の経験をなつに当てはめて演じたと言います。なつは強い意志をもつ女性、いろんな経験をしてきた中で、自分で道を決めて進んでいくんだという思いでずっと活動してきた鞘師さん、共感できた部分も大きかったとのことです。
劇中では11人の賊人の中で、女性として仲間全体を見守るスタンスのなつ。撮影の合間も罪人役の男性陣の輪の中に積極的に入っていくというよりは、みんなを見守るようなスタンスだったそう。鞘師さんはモーニング娘。時代は、どちらかといえばマイペースで、必要以上にほかのメンバーたちとベタベタするイメージはなく、全体を俯瞰で見守る感じで、なつの立場とモーニング娘。での彼女のスタンスとどこか通じるものを感じます。グループ活動の中で思うように前に進めなかった経験なども芝居の中で反映していたのではと察しますし、アイドルとして最盛期の中、卒業や留学を決めた際など、強い意志を持って自分の道を自分で決めてきた精神力も、なつの姿勢に通じるものがあります。
そんなふうに自身の人生を投影させたという演技により、その表情、たたずまいから人生の修羅場を乗り越えてきた人間の強さを感じさせます。その背景を知って観ると、より彼女の芝居に惹き込まれます。
そんな鞘師さん出演の『十一人の賊人』は11月1日に公開、またドラマ『めんつゆひとり飯』はBS松竹東急で水曜23時より放送中。対照的な役柄の2作品で鞘師さんの女優としての魅力にぜひ触れてもらいたいと思います。
文/田中裕幸