那須川天心　単独インタビュー

エンタメNEWS2025年2月14日6:00 PM

2月24日にジェイソン・モロニーと対戦する那須川天心【撮影／池本史彦】（C）ORICON NewS inc.

　「ボクシングの革命はまだ途中」――プロ転向から2年、那須川天心はそう語る。キックボクシングで無敗のままボクシングへ転向し、その才能を証明し続けてきた。しかし、伝統あるボクシング界に飛び込み、新たな壁に挑む中で、批判の声やプレッシャーとも向き合ってきた。

【動画】那須川天心、モロニ―戦に意気込み&武居由樹と“比較の声”に言及【単独インタビュー】

　そんな天心が2月24日に対戦するのは、元世界王者ジェイソン・モロニー（有明アリーナ／Prime Videoでライブ配信）。この試合に勝てば世界タイトル戦が見えてくる、大きな節目となる戦いだ。残り10日となった試合に向けた心境、アンチとの向き合い方、日々の積み重ねが生む「勝ち」の意味、そして試合後に見据える未来まで。ORICON NEWSの単独インタビューで天心が率直に語った言葉から、何を感じ取ることができるだろうか。

■「アンチが減ってきたので、もっと言ってほしい。アンチがいるからこそ熱が生まれる」

――2023年2月にボクシングのプロライセンスを獲得して2年が経ちました。この2年間を振り返ってどう感じますか？

【天心】うわ、もう2年かって感じですね。本当に濃かったし、順調に来ていると思いますし、めちゃくちゃ楽しいです。ボクシングには歴史や文化があって、それを知るのがすごく面白い。ほかの格闘技とはまた違う魅力があって、本当に好きになっています。

――伝統ある競技だからこそ、厳しい意見やアンチの声も届いていると思いますが、どう受け止めていますか？

【天心】キックボクシングの時からずっとアンチはいましたし、ファンとアンチの両方がいないといいものを作れないと思うので、それも含めて楽しみたいですね。正直、ボクシングでも勝ち続けて、ベルトも獲ったからアンチが減ってきたんですよ（笑）。もっと言ってほしいくらい。認めてくれる人が増えてきたのは感じますけど、アンチがいるからこそ熱が生まれる。だから両方を巻き込むことが大事だし、その感じが僕は好きです。賛成の声だけだと信者ばっかりになるし、アンチと批判もうまく見極めることも大事かなと思います。

――X（旧Twitter）で試合に向けた日記を書かれていますが、文字にすることで自分の中で考えを整理しているのでしょうか？

【天心】僕は普段から頭の中でいろいろ整理してるんですけど、日記を書くことでさらに思考がクリアになるんですよね。ボクシングに限らず格闘技がすごく盛り上がって身近になった一方で、“覚悟”の部分って誰も教えてない気がするんです。だからこそ、僕が「こんなにつらいこともある」とか「ずっと勝ってる俺でもこういうことを考えてる」って書いて公開してくことで、誰かの役に立つんじゃないかなと。そういう役割を担うタイミングだと思ったし、誰にでも日記を書くことはおすすめですよ。別にSNSに公開しなくても、一日一行でもいいから自分のために書くだけでも意味があります。振り返ったときに「自分はこんな事を考えていたんだ」っていうアルバムですよね。

■元世界王者との試合は「僕が勝つことで、さらにボクシングが面白くなるかどうかが決まる」

――キック時代から無敗の天心選手ですが、「負け」についてはどう考えていますか？

【天心】いつか負けるかもしれないし、でもそれは自分でどうこうできるものでもないので。最近は“負け”が軽く扱われがちだけど、本当はめちゃくちゃ重いものだと思う。だから僕は、試合の勝ち負けよりも日常での勝ち負けを意識しています。「天心はずっと勝ってるよね」って言われるけど、僕が日々どんだけ負けてるか。でも日常でどれだけ負けるのかが大事だし、それを積み重ねた結果が試合に出る。誰でも試合では本気を出すけど、日常でどんだけ本気でやれるか。そっちのほうが価値があると思っています。そこまで100％でやりきったら、あとは試合当日の自分に任せるしかないです。

――次戦の相手は元世界王者のジェイソン・モロニー選手です。自身のボクシングキャリアにとっても、間違いなく大一番となりますね。

【天心】めちゃくちゃ重要な試合になると思ってます。今、日本のボクシングがすごく盛り上がっているなかで、僕が勝つことでさらにボクシングが面白くなるかどうかが決まるような試合。若くてちょっと勢いがあって、何するかわかんねえみたいなヤツがここで勝つと、みんなさらにワクワクするだろうし、ずっと信じてくれている人たちにも「応援して良かった」って喜んでもらいたい。本当にすごく意味のある試合になると思います。

――試合に向けて、プレッシャーは感じますか？

【天心】いや、ワクワクしかないですね。どう乗り越えていくか、自分は常にチャレンジをもらえている人生だなって思います。強敵ですが、相手の強さを知るというより自分がどこまで通用するのかを知りたい。格闘技って限界がないじゃないですか。だから、自分がどこまで行けるのか、指標になるような試合。自分のやってきたことが通用して圧倒的に勝てるのか、それとも高い壁に跳ね返されるのか。でも、壁を乗り越えるために準備をしてきたので、自分とチームを信じてやるしかないです。

――モロニー選手は前戦で武居由樹選手と戦っているので、どうしても比較されてしまいますが、その点については意識されますか？

【天心】そういう声があるのは当然だし、僕も意識せざるを得ない部分はあります。お客さんもそこを見るでしょうけど、それを意識しすぎるのではなく、自分にとって初めて世界的に名前のある選手との試合なので、そこを楽しみます。ファンの皆さんもそんな自分に思いっきり乗っかってください。リアルを見せますから。

■「YouTubeは1万再生くらいでいいけど、みっくんが出ると再生数が増えちゃう」

――モロニー戦の結果や怪我の状況次第かと思いますが、今年はどんなペースで試合をやっていきたいですか？

【天心】キック時代と違って年に9試合とかできないので、多くて3～4試合になると思いますが、今回勝てば年内に世界タイトルが獲れると思っています。そこまで来てるので、しっかり勝って革命の狼煙（のろし）をあげますよ。

――本音ではボクシングでも年9試合くらいやりたい？

【天心】やってもいいというマインドは持ってますよ、格闘家は試合してなんぼなので。ただ、ボクシングはどうしても試合間隔が空いてしまうので、その“間”をどう見せるのかが大事になってくる。だから個展をやったりポップアップなどやっていますけど、試合が軸なのは間違いないです。

――今回の試合が終わったら、ファンの方が楽しめるようなイベントを考えていますか？

【天心】やりたいですね。最近、お祭りをやりたいなと思っていて。僕が主軸になって、仲のいい芸能人とかアーティストとかに声をかけて、みんなが屋台を出すみたいな。立場の上とか下とか、地位とか名誉とか関係なしに全員が楽しめる“フラットな場”を作りたいです。興味のある人を募集しますので、ぜひ連絡ください（笑）。

――ファンを楽しませるという点では、試合が落ち着いたらYouTubeも再開していく？

【天心】どうなんですかね、YouTubeは100万人いった時点で一区切りつけましたし（その後、新たなチャンネルを開設）。今はYouTubeで“いかに再生数を取らないか”っていう逆のことにハマって、1～2万再生を狙ってます（笑）。みっくん（朝倉未来）が来ると再生数が増えちゃうんですけど、大事なことは言いたいっていうのもあるし。でも、友達のチャンネルに出たりするくらいがいいいのかな、って感覚でやっていきます。

――未来さんが出演する「さすむし＝さすがにむしろ」シリーズは人気ですね。

【天心】そうっすね、あの人は掛け合いが面白いですから。ちょくちょく連絡を取ってサウナに行ったり、けっこう仲良くやらせてもらってます。

――最近は霜降り明星の粗品さんとの絡みが見られないのが寂しいのですが、交流は続いていますか？

【天心】そっしーとも連絡を取ってるし、ご飯にも行ったりしますよ。この前の試合後には焼肉をおごってもらいました。借金が多いのに大丈夫かな（笑）。YouTubeを一緒に撮ろうって話もあるけど、なかなかタイミングが合わないので、今回の試合が終わったら狙ってみます。

――最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
【天心】いつも応援ありがとうございます。ボクシングはまだまだ革命の途中ですが、僕は“楽しむ”ことを大切にしながら進んでいきます。これからも一緒にワクワクしてもらえたらうれしいです！

◆『Prime Video Boxing 11』2月24日（有明アリーナ）
■WBC世界バンタム級タイトルマッチ
王者　中谷潤人（27＝M.T）29戦全勝（22KO）
vs ダビド・クエジャル（23＝メキシコ）28戦全勝（18KO）

■WBA世界バンタム級タイトルマッチ
王者　堤聖也（29＝角海老宝石）14戦12勝（8KO）2分
vs 比嘉大吾（29＝志成）25戦21勝（19KO）3敗1分

■バンタム級10回戦
王者　那須川天心（26＝帝拳）5戦全勝（2KO）　
vs ジェイソン・モロニー（34＝オーストラリア）30戦27勝（19KO）3敗

Prime Videoで独占ライブ配信（試合順は未定）