複雑に絡み合う人間関係!?記憶に残る“ドロドロ系ドラマ”10選!

#ドラマ#昼ドラ#アドリブ#絡み合う#デザイナー

タレメREPORT2015年8月25日9:55 AM

人間の中には誰にでも醜い気持ちがあります。そんな気持ちを抑え自己消化し、他者に迷惑をかけないのが大人というもの。その悪い部分をクローズアップし、耐え、そして戦う人を応援し強い心を育て、醜い人間の醜さをしっかり見て反面教師にする方もいれば、逆に自分の中の醜い心をフィクションで叶えてもらい、すっきりして現実に持ち込まないようにする方もいるかもしれません。

そんな、人の心の闇を描く“ドロドロ系ドラマ”は、どこか芝居がかってしまうものも多く、なかなかヒットには結び付きにくいジャンルかもしれません。しかし、一度火が付くととんでもなくヒットするのも特徴といえます。今回は、とにかく記憶に残るドロドロ系の名作ドラマを10作品選んでみました。

ドロドロといったらコレ!?大映ドラマはドロドロの宝庫『花嫁衣裳は誰が着る』

『赤いシリーズ』『スチュワーデス物語』など、“ドロドロ系はお手の物”な大映製作のドラマ。大映ドラマだけで「ドロドロ10選」がいけそうな気もします。

小泉今日子さん主演の、亡くなった実母に実父の病死と経歴を知らされ、祖母、叔母に親族と認めさせるために奮闘する“薄汚ェシンデレラストーリー(劇中から引用)”『少女に何が起ったか』。真夜中に別の顔となり、真面目な少女が不良少女に変身する『ヤヌスの鏡』。私利私欲や見栄、嘘から取り違えられてしまった女の子の運命を描いた『乳姉妹』など、もうその設定だけでドロドロとした物語ばかりですが、あえてその中から一本を選ぶとしたら、1986年の『花嫁衣裳は誰が着る』などはいかがでしょうか。

佐渡に住む、デザイナー志望の千代(堀ちえみさん)は、幼くして母を亡くし、お金持ちのおじに引き取られます。おじは心やさしい人ですが婿養子。その上、いとこのみさ子が崖から転落して歩けなくなった際に近くにいたため、突き落としたのでは?と疑われてしまいます。父親が分からない上に人見知りの千代を、あまり可愛く思えていなかった義おばと、恨みつらみのあるみさ子は当然彼女をいじめます。そんな中で、崖から落ちたアイドル俳優で御曹司の光(松村雄基さん)を助け、運命の出会いを果たします。しかも後日、佐渡から逃げてデザイナー・ユリに弟子入りしようとした千代と、独立してデザイナーをかえようとした光は偶然再会。

一見、良い感じに見える二人ですが、光の衣装が燃えれば千代のせいにされ、幼馴染の金持ちが無理やり結婚を迫り、ユリのデザインが盗まれて疑われて退職、実は光と兄妹かも・・・、光のお父さんの会社が大変なことになる、光とみさ子が婚約する・・・、さらには、ゴーストデザイナーになったり頑張って作った花嫁衣装をとりあげられたり、恩師を裏切るハメになったり・・・。まぁ見事なまでに毎回ドロドロしてくれます。まさにジェットコースター。毎回ハラハラしたい方にはおすすめの作品です。

ドロドロといえばやはり恋愛『ずっとあなたが好きだった』『週末婚』『魔女の条件』

人の感情がもっとも動くのは、やはり“愛情”ではないでしょうか?親子の愛や恋人の愛、尊いものではありますが、こじれるともっともめんどくさいものです。嫉妬に狂った女というのはとても恐ろしく、嫉妬に狂った男のしつこさと言ったら・・・。ウザイを通り越してキモいです。

その“キモさ”が爆発したのが1992年の『ずっとあなたが好きだった』。結婚してしまった元カノ・美和(賀来千香子さん)と再会したラガーマンの洋介(布施博さん)。お互いを「ずっと好きだった」というせつない気持ちを描くはずだった作品・・・だったのですが、夫の冬彦演じる佐野史郎さんのアドリブから、すっかり違う話になってしまった迷作です。性描写や暴力描写も多く、陰湿ないじめだけではなく、逆恨みや人の噂などのドロドロも満載。

なによりも、美和を愛する冬彦のストーカー的な行動と、冬彦が指を怪我した際、アドリブで思わずなめてしまった野際陽子さん演じる姑の「母心」。アドリブで冬彦役の佐野史郎さんが、なめられた指をさらになめたため「キモイ」と評判に。どんどん冬彦さんの出番は増えていき、「ずっとあなたが好きだった」のは、いつのまにか美和と洋介ではなく、「子どもの頃美和に一目ぼれした冬彦」という設定に塗り替えられてしまうほどでした。洋介役の布施さんが落ち込んでしまったのも仕方ないかもしれません。

結婚を約束した彼とその兄を姉に紹介した事で、姉が恋人の兄と、兄のスペックに惚れてしまい、既成事実を作って先に結婚してしまう・・・。その上、姉の策略で自分は破局するハメに・・・という不幸から始まった姉妹のいさかいを、ドロドロに描いた『週末婚』。

才媛と言われ順風満帆できた姉・陽子を松下由樹さん。地味ながらも努力する妹・月子を永作博美さん。実力派女優二人のののしり合う姿はど迫力です。才能のある姉妹なのですが、どうしても妹より優位にいたい姉。妹が幸せだったり成功をつかみそうになると、えげつない嫌がらせをするのです。松下さんの意地悪な表情がまた絶品。この作品以降、『大奥』の春日局など、「目的のためなら手段を選ばない」役どころが増えました。

女教師と男子生徒の禁断の愛を描いた物語『魔女の条件』。落とした婚約指輪を探してくれた笑顔の素敵な少年・光(滝沢秀明さん)。実は彼は、コネで教師になった未知(松嶋菜々子さん)が勤める高校の転校生で有名な問題児でした。お互いちょっといじめにあっており、お互いを心配しながら心を通わせ、即交際宣言してしまう驚きの急展開。息子ラブなあまりに過激な愚行に走る光母、同級生の純の家庭トラブルや周囲からの嫌がらせ、お互いを思うあまりのすれ違いや、信頼した人の裏切りなど、愛がスパークしてしまったゆえのドロドロ劇です。

宇多田ヒカルさんの歌うテーマソング『First Love』が物語の世界観を深め、若さゆえの純愛を感じました。また、キーマンとなる光の家庭教師役を演じる緒沢凛さんの演技も光っています。

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ひとつ屋根の下のどろどろ恋愛劇。昼ドラ『愛の嵐』『牡丹と薔薇』

ドロドロといえば、お馴染み「昼ドラ」。定番の昼ドラお馴染み展開といえば、孤児から使用人になった男がお嬢様と心を通わせるもののお嬢様は他の人と結婚。復習に燃えた男が成功して戻ってくる、名作『嵐が丘』を日本風にアレンジした『愛の嵐』。今も活躍する田中美佐子さん、渡辺裕之さんの出世作でもあります。続く『華の嵐』『夏の嵐』はヒロインが高木美保さんに変わりましたが、同じく華族階級と使用人の格差恋愛で大ヒットしました。

罠にはまり無理やり結婚させられながらも、恋人・直也のために純潔を貫く大正時代の貴婦人を描いた『真珠夫人』(1974年・2002年)も、昔からファンに愛されています。平成版では、嫉妬に狂った直也の妻が「たわしコロッケ」を夜食に出すシーンが話題になりました。そして、それ系の最たるものが『牡丹と薔薇』ではないでしょうか?

つつましい暮らしをするぼたん(大河内奈々子さん)は、薔薇のような女の子・香世(小沢真珠)と親友になりますが、香世の父と不倫中の花の命令で一方的に絶縁してしまいます。しかし実は、ぼたんは育ての母が誘拐した香世の実姉・真世だったのです。時は過ぎ、お金に困ったぼたんは、偶然知り合った実父から「家政婦に」と望まれ生家に。「私を裏切った元友人」という認識の香世と、「愛人の子」という認識の実母のいじめがまたえげつないのです。勝手に荷物を処分したり、恋人をドM奴隷にしたあげく死なせてしまったり、一方的に「豚」とののしる姿は話題になりました。「同じ日に処女をなくそう」という不思議な約束を無理させ、果たさなかったら輪姦させるなど、非常にエキセントリックな愛情です。その愛情は夫・由岐雄にも向けられ、由岐雄とぼたんの子を誘拐してしまったり、財布ステーキ作ったり・・・。結局この姉妹、腎臓を分け合ったり、片方失明したら自分も目をつぶしたりと、凄いのは香世だけかと思いきや、真世(ぼたん)も相当です・・・。

子どもだけでなく大人のいじめも!『ライフ ~壮絶なイジメと闘う少女の物語~』『名前をなくした女神』

友人から八つ当たりで絶縁され、心を病んでいた北乃きいさん演じる歩。クラスの中心人物・愛海に声をかけられ、徐々に心を開いていきます。そして愛海のために愛海の恋人・佐古との別れ話を止めようとしたところ、佐古に暴行・脅迫されて・・・と、しょっぱなから壮絶な『ライフ ~壮絶なイジメと闘う少女の物語~』。

過去に軽いいじめに加担したことから噂を流され、佐古を誘惑したと愛海に疑われてしまう歩。愛海一派や、権力者である愛海の両親の息のかかった人々、臭いものに蓋をしたい学校側、そして世間体を気にする母も味方にはならず・・・。結果、退学させられそうになったり犯罪に巻き込まれたりと、シャレにならない状態にまで。さらに、味方をしてくれていた教師が退職させられるなど、子どもの手には負えないような深刻な事態に発展し、生徒たちが手のひらを返すように加害者をいじめるという、“いじめの連鎖”も発生します。

最終回で、いじめられていた歩が、いじめていた愛海を守ろうとする姿には感動を覚えました。窓から机を投げ、「おめーの席ねーから!」と冷たく言い放つ岩本みどり(演・末永遥さん)の演技は、真に迫りすぎて鳥肌ものでした。

近年問題になっているママいじめを描いた、杏さんが24歳で28歳のママ役を演じた『名前をなくした女神』。集団いじめではなく、あくまで個々であるのが救いではありますが、いやみや価値観の違いを受け入れられず見下したり見栄をはったり、嫉妬から嫌がらせをしたり、自殺未遂や引っ越し・転園などのトラブルに心が痛くなります。親の不用意な一言で、子どもが他の子どもをバカにしたり、大人たちのうがった憶測から噂が広がり担任が退職に追い込まれてしまうなど、一見些細に見える言動が大きな問題になることを実感しました。

「負けたくない」がスパークしすぎ『ファーストクラス』『泣かないと決めた日』

仕事と恋がこじれて壮絶な会社いじめに発展してしまう『泣かないと決めた日』。後輩の手柄をとりあげても認められたい、些細なミスを人のせいにしたい、そういったことの積み重ね、一人ひとりの心の弱さのターゲットになってしまったのが、榮倉奈々さん演じる美樹。集団いじめというよりも、一人ひとりが嫌がらせや罪のなすりつけをしているため、「悪い奴」「ダメな奴」「足をひっぱる」という印象が独り歩きし、美樹が仕事で成功しても「あいつが?なにかズルしたに違いない」と正当な評価をされないという悪循環に陥ります。悪意のある人だけではなく、普通の人がだんだんいじめに加担していく、日常で陥りやすい状況が恐ろしいです。

そして、痛快なほどに分かりやすい女の意地悪を大胆に描いた大ヒットドラマ『ファーストクラス』。沢尻エリカさん演じる衣料品店で働くちなみは、コネで雑誌「ファーストクラス」の編集部インターンに。そこは女性ばかりの世界。「自分の立場を確立する」「マウンティング(格付け)」に夢中な女の世界に、強く立ち向かうちなみの姿が強くたくましくたおやかに描かれ、人気となりました。

なによりもわかりやすくえげつないいじめを臆することなく堂々とおこなう、菜々緒さん演じるレミ絵や、田畑智子さん演じる白雪などの、心の中のどろどろナレーションが絶品です。後ろめたさ0%、悪100%の、どろどろだけどウジウジしない攻撃。それにちなみがどんな風に立ち向かうのかを考えるとむしろワクワクする。ドロドロ系には珍しく、毎回楽しいドラマでした。

昔のドロドロ系は基本シンデレラストーリー。いじめに耐えたヒロインが、王子様と結婚する・・・そんな展開が多いです。昼ドラでは、格差で付き合えないロミオとジュリエット系。90年代あたりからは一方的にいじめに遭うのではなく、「どう戦うか?」という設定の作品が多かった気がします。人の心は弱くドロドロしているのが本質。たまにはドロドロ系ドラマを見て、改めて自分や周囲を見直してみるのはいかがでしょうか?

今回選ばせていただいた、記憶に残る“ドロドロ系ドラマ”10選

『花嫁衣裳は誰が着る』
『ずっとあなたが好きだった』
『週末婚』
『魔女の条件』
『愛の嵐』
『牡丹と薔薇』
『ライフ ~壮絶なイジメと闘う少女の物語~』
『名前をなくした女神』
『ファーストクラス』
『泣かないと決めた日』

文/藤原ゆうこ

 

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