武尊、母が「異常な行動に気づき」

エンタメNEWS2025年3月19日6:00 AM

自著『ユメノチカラ』を発売した武尊

 「K-1 WORLD GP3階級制覇」、「10年間無敗」世界の格闘技界にその名を轟かせた武尊が、紆余曲折の半生を語った『ユメノチカラ』(徳間書店刊)。武尊は同書で「心折れそうなとき、道を逸れてしまいそうになったとき、自分を支えてくれたのは『夢』の力だった」、「幼いころに誓った『K-1のチャンピオンになる』『格闘技で成功する』その夢を持ち続けたから、今がある」、「格闘技には、人の心を動かし人生まで変えてしまうとてつもないパワーがあると僕は信じている」などと語る。リアルな心境がつづられた同書から、うつ病を発症した当時の心境をつづった内容を、一部抜粋して紹介する。

【写真】自著を手に…笑顔でガッツポーズを披露する武尊

■夢の喪失と「うつ」発症、自殺未遂

 「うつ」の症状を発してしまう人の特徴として「セロトニンが出なくなること」があるようだ。

 セロトニン=脳内の伝達物質の一つ。脳内で喜びや快楽などを伝えるドーパミン、恐怖や驚きを伝えるノルアドレナリンをコントロールして精神を安定させる働きがある。「幸せホルモン」ともいわれる。

 セロトニンが出なくなると、人間は手っ取り早くセロトニンを出そうとして、様々な行動に走るらしい。モノを手当たり次第に買いまくる「買い物依存症」になる人もいる。僕の場合、それは過剰な食欲となって現れた。

 退学になる前から、たびたび試合のための減量をしていたこともあって、体重調整のために食べられない時があった。試合が終わって減量から解放されると、その時も過食症みたいにひたすら食べ続けていた。

 寝ていてもお腹が減るから、起きて延々と食べて、また寝て――。どうしても体重は増えていく。でも、次の試合が迫ってくるから、また痩せなきゃいけない。この繰り返しだった。

 たぶん、このころから、僕のメンタルはじわじわと不安定になっていたと思う。

 その時はキックを始めていたから、試合のたびに減量があった。うつで過食症になっていたから食べるのはやめられないけれど、試合までには体重を落とさなければいけない。だから、食べたあとは無理やり吐き出す。こんな体にも心にも悪い方法が、長続きするはずがない。やがて自律神経が乱れ、とうとう僕は心を病んでしまった。

「生きてる意味ってあるのかな?」

 格闘家になりたい、チャンピオンになりたいという夢をかなえる、そのモチベーションでここまでやってきたのに、それをすべてなくしてしまった。自業自得と言えばそれまでだけれど、支えになってきた夢を失った僕には、この先の人生を「何を楽しみに生きていけばいいのか」がわからなくなってしまった。

 そういう時に、僕に近寄ってくる人たちもいた。あまり詳しくは話せないけれど、決して筋のいい人たちじゃなかったし、一緒にいて楽しいと思える人たちでもなかった。でも、そのころの僕は、そんな人たちと一緒にいる時間ぐらいしか、自分が生きていると思える実感が持てなかった。

 つらくて、苦しくて、何度か自殺未遂みたいなこともした。

 岸壁から海に身を投げようとしたこともあったし、自宅のコンクリートの壁に1時間ぐらいずっと頭を打ち付けたりして血だらけになったこともあった。

 お母さんが僕の異常な行動に気づいて、すぐに病院に連れていったことから、うつ病だと診断された。

 病気の症状だったんだ……。

 ようやく、自分の心と体がどんな状態にあるのかがわかった。

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