松&松村が互い感じた安心感
エンタメNEWS2025年2月7日6:00 AM
俳優の松たか子が主演し、松村北斗(SixTONES)と共演する映画『ファーストキス 1ST KISS』(2月7日公開)。映画『怪物』(2023年)で知られる坂元裕二氏が書き上げたオリジナル脚本を、『ラストマイル』(24年)、『グランメゾン・パリ』(公開中)などの塚原あゆ子監督が映画化。初共演にして夫婦役を演じた松と松村が、撮影を振り返り、互いの印象や、坂元氏・塚原氏のタッグならではの今作の見どころを語った。
結婚して15年目、事故で夫が死に、残された妻・硯(すずり)カンナ(松)は第二の人生を歩もうとしていた矢先、タイムトラベルする術を手に入れる。離婚寸前まで、すれ違っていた夫・駈(かける/松村)と15年前の過去で出会い、もう一度恋に落ちたカンナは夫のため、未来を変えようと奮闘する。時空を超えた壮大なラブストーリーが描かれる。
■坂元氏の作品は「優しいけど気づいたらキズだらけ」 常連・松と初挑戦の松村が魅力を語る
――松さんは『カルテット』(2017/TBS)『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021/カンテレ)など坂元作品の常連ですが、映画は初ということで、台本にどのような印象を受けましたか。
松:坂元さんの脚本の映画に出演するのは初めてなので、新鮮に読ませていただきました。“なんか面白そうだな!”って。過去に戻ったりするシーンは「これをどうやって撮るのかな?」という印象はありましたけど、それは監督がなんとかしてくれるだろうから…(笑)。なので、自分のやることを頑張ろうという感じです。過去と現在の行き来についての視覚効果に最初は目が行きがちだけど、私はお話自体を大事にすればいいのかな、と切り替えました。
――松さんとしてはタイムトラベルの描き方よりもまずお話に、駈に対してだけ向かっていけばいいという感覚だったんでしょうか。
松:カンナさんの行動の原動力はすべて彼への想いだったので、そう演じてみようと思いました。
――松村さんは、もともと坂元さんの作品がお好きだったと聞いております。最初に台本を読んでいかがでしたか。
松村:最初にもらった台本は、撮影を始めるために製本したものよりもだいぶボリュームのあるもので、読んでいても本当に飽きなくて。多分このまま撮ったら4、5時間の映画になりそうなボリュームでしたね。
松:もっと過去と現在を行き来していたのかな?
松村:確か、他のキャラクターにももっとドラマや出来事があって…。ただ、そこから削られてく中で寂しいところはなかった。どんどん洗練され、急にわかりやすく感じる部分も出てきて、改めて台本が進化していく工程を一緒になって追ってみることで、坂元さんのすごさを体感しましたね。
――松村さんは松さんの主演された坂元さん脚本のドラマ『カルテット』がお好きだったそうですね。
松村:『カルテット』は坂元さんを知ったきっかけ。『なんだ、このドラマは!めっちゃ好きだ!』となって。
――最初に分厚い台本を読んだときは、物語を読むようなワクワク感もあったのでしょうか。
松村:そうですね、ここからページ数が減っていくことは最初から聞いていたので、この台本は絶対に取っておこうと思いました。
――台本を読んでいるところで、坂元さん脚本ならではだな、と感じることはありましたか。
松村:あります。正直、展開や構成は、素人の僕からすると全然わからないのですが、セリフの言葉選びは特に感じますね。
――その点、坂元さん作品の常連である松さんは、ご自身の体を通していつもしゃべっているセリフでもあるわけですが、坂元さんらしさを今回の脚本からも感じましたか。
松:どうなんでしょう?わからない気もするけど…。
松村:今作でいうなら、柿ピーのくだり。「君は柿ピーの柿が好きで、僕はピーナッツが好き」とか。
松:なるほどね。私の場合、台本を読んで『ああ、坂元さんだな~』と思うところはうまく話せないのですが、坂元さんの台本っぽい台本を読んだらわかるかもしれない。「坂元さんが好きなのかな?」って(笑)。ただ、ご本人の台本を読むとそこまで気づかないんですよ。
――実際に坂元さんの作品を見終わるとこういう感覚になるなとか、そういう魅力は感じますか。
松:なんでしょうね、すごく優しいような、 ものすごくブスブスッと刺されたような…(笑)。穏やかな気持ちなんだけど、なんか血だらけみたいな気持ちになる役とか話が多い気がします。気づいたらキズだらけ、みたいな(笑)。でも優しい、大丈夫だよ、と言ってくれるような感じはあります。
――そんな坂元作品に初挑戦した松村さん。この不思議なお話に向き合う時に1番、芯にしたものはなんでしょうか。
松村:プレッシャーも大きいし、物語の主軸がファンタジーなので初めは難しく捉えてしまい、混乱していた時期もあったのですが、よくよく考えていくと駈は、基本的には初めての瞬間を生きている。それなら、別に他の物語と自分の人生はそう大差がないこと。ただ、不思議な状況や不思議なシチュエーションはめぐってきて、それに対する態勢は、考古学が好きで昔から追いかけてきたロマンにつながっている。この2点が自分の中でもハッキリと駈の主軸であるとわかったら、台本がスルッと合点がいくようになった。
――今作のなかで特に印象に残ったセリフやシチュエーションはありますか。
松村:僕が読んでいて、いわゆる坂元さんの作品を好きな方々が“坂元さんらしさ”を感じるんだろうな、というのはまさに柿ピーのくだり。なんなら坂元さんが、坂元さんらしさをやりにいったぐらいドンピシャに書いてくださって、それをセリフとして言うことができたことはひとつ感動でしたね。
松:2人で会話している時の「15年後、人は何を見ても聞いても『ヤバい』しか言わない」。確かに!って。それを2人がいろんなことを乗り越えて楽しそうにしゃべっているのはかわいいなと思ったし、言っていても楽しいセリフでした。
――坂元さんの作品といえば、セリフはもちろん愛すべき登場人物です。お互いに短所もあるけど、かわらしいところもあるカンナと駈のキャラクターも今作の大きな注目ポイントだと思いますが、それぞれお互いの役柄のどのようなところに魅力を感じましたか。
松村:カンナは駈とある意味、対照的。体感で行動して生きているように駈からは見えていることがすごく魅力に映りました。犬にもみくちゃにされている時とか(笑)。節々でそういうフィジカルで生きている感じが魅力でした。
松:何を言っても何をしても、まずは聞いてくれる。見てくれる。とにかく、まず、見て、“うん”とか“違う”とか。どんなことをしても、そこにいれば見てくれる、聞いてくれる存在だというところですね。
■“松たか子”の存在の大きさに恐縮「どうしたら遠慮せずに芝居ができるか」
――松さんは「松村さんのおかげでカンナになれた」、松村さんは「松さんのサポートで毎日へとへとになるまで役を演じきることできた」とおっしゃっていました。初対面はどのような印象だったのでしょうか。
松村:最初は本人目の前にしてなんですが、まず“松たか子”という存在の大きさに屈するんですよ。
松:屈する!?なんか怖いこと言われてる!?
松村:まして夫婦役となると、どうしたものかな。正直、出たとこ勝負みたいな気持ちで現場に来たんです。でも、そのハードルや引っかかっていた部分は、松さんの人柄がハードルの向こうに連れていってくれた感じがしています。気さくという表現ではあまりにも言葉が足りないのですが、初めてお芝居をする前に、その人柄の部分で「この人についてったらなんとか撮影期間を乗りこなしていけるかも」と安心することができました。
松:カメラテストなどをする日が初対面だったんですけど、すごくしゃべってくださって。多分すごい気を遣ってくれましたね。
松村:定番のあの輪郭の話を!
松:メイクして着替えて…を繰り返していた1日のなかで初めてあいさつをしたんですが、思っていたよりも、(いい意味で)輪郭がある人だなと思ったんです…。
松村:…誰も(記者が)わかってないですよ!
――キャラクターがはっきりしている人ということでしょうか。
松:というより雰囲気…?
松村:僕もね、5回くらい質問したんです。「輪郭があるってどういうことなんですか」って。でも未だにわからない。
松:もっとなんか透明感あふれる、繊細、ナイーブな感じかなと思っていたんですかね…?
松村:思ったより普通の男性が来たってことですか?(笑)
松:いやいや(笑)、思っているより…しっかりした輪郭がある。
松村:ガタイが良かったとか、肩幅が広かったとか?
松:それもあるのかな…でも総合的に?すぐ倒れちゃいそうじゃない感じの…しっかりした人なんだなって。
――最初はそういう繊細なイメージを抱いていた、という。
松:ご一緒するにあたってどんな人なんだろうなと思った時に、相手として私で大丈夫なんだろうかと思っていたし、どうしよう…とばかり思っていたんですけど、割と安心感がある人なんだなって。(松村への印象について)きょう、初めて“安心感”という言葉を口にしました!(笑)
松村:ひとつ、“輪郭”が掘り下げられましたね(笑)。
松:公開日までにもっと掘り下げます(笑)。
――最初はギスギスした夫婦役ということで、距離を縮めすぎる必要はなかったのかもしれませんが、何かお互いとのコミュニケーションで意識されたことはありますか。
松:私は、夫婦を演じるために具体的に何かしようとは思っていなかった気がします。(松村が)いっぱい話してくださり気を遣ってもらっていたんだろうなという日もあれば、あまり話さない日もあったり…。撮影の1ヶ月ちょっとの間、いろんな日があって、それに慣れていったので、普通に過ごせればいいかなぐらいに思っていました。
松村:僕はちょっと頑張らないとやっぱり「遠慮をしないこと」をできない相手ではあったので、ちょっとシーンで話す、触れるにあたって、どうしたら遠慮せずに芝居ができるかばかり考えていた時はありました。最終的には遠慮せずに演じたつもりです。
――この現場で、松さんから引き出された駈の芝居はありますか。
松村:このキャラクターは、どこで力が抜けていて、どこで熱がこもる瞬間なんだろう?とちょっと掴みきれない部分もある中で、「今、カンナがこういうテンションだから駈は安心するんだろうな、熱がこもるんだろうな」と、全部一択しか残ってないぐらいカンナが導いてくれました。松さんでなければ、僕は何をやっていたのだろう、本当に不安になったと思います。
――カンナがタイムリープした過去で、駈とデートをするシーンがどれも印象的なのですが、撮影で記憶に残ったエピソードはありますか。
松村:なんかありそうですね、何かが(笑)。
松:ありますよ!ロープウェイが楽しかったし、会話も楽しかったですし。かき氷はね、場面の中で食べられないっていうのも楽しかった。食べられないんだ!って。
――撮影では結局、食べることができなかったんですか。
松:食べました!
松村:ふるまっていただきました。すごくおいしかったです。
――ちなみにカンナと駈がかき氷に並ぶ行列の中で、それを揶揄(やゆ)するセリフも思わずクスッときました。
松村:並びながら「結局は氷と砂糖、後ろに行けば行くほど馬鹿」みたいなことを言うんですよね(笑)。そう言われると確かにな…とは思うんですけど、絶対に人生で口にしないセリフですよね。
松:確かにしない。でも言ってみると楽しいかもしれない。ちょっとした悩み事は吹き飛ぶ気がしますよ。
――ご自身はかき氷に並べますか。
松:ここですよね。ここでどう答えるか印象が変わってきちゃう(笑)。…並ばない…ですけど…でもよっぽどの時は並びます。
松村:食べたかったら並びますね。
松:食べたくない人は並ばないです。
松村:でも、列が理由で辞めちゃうみたいな。そんなに待つんだったら…みたいな。結局、かき氷への熱量で、僕はかき氷だったら並ばないけど、何かのために列に並ぶのは、全然苦じゃないです。
松:それはでも、みんなそうじゃないですか!
松村:…はい(笑)。
■塚原監督は「愛情深い方」 チームワークが居心地の良い現場を回想
――坂元さんの脚本作を塚原さんが監督した今作は、今の映画にとってすごいタッグだと思ったのですが、お2人は撮影を経験されて、塚原監督と坂元さんというタッグをどう捉えましたか。
松:坂元さんの台本を、こうなんじゃないか、ああなんじゃないか、こうできるかな…とチャレンジしていく塚原さんは見ていて面白かったです。それを坂元さんも楽しんでいたからこそ、実現したと思うので、その出会いは刺激的だったんじゃないかな。
松村:お二方ともなんか独特で、全然違うところにあるエンタメ性とリアリズムを持っていてそれを共存させることで、お2人らしいような、ある意味、どちらににもないような…中間で新しいものが生まれたような、すごくすてきなものを感じました。
――現場では、塚原監督からはチャレンジ精神を感じましたか?
松:もう止められないんでしょうね。次から次へこうしたい、ああしたい、の思いを。アイデアが次々と出てきて表現していく。でも私たちを置いていくわけではなくて、よく見ていてくださる。ずっと「へ~!」となっていた感じでした。
松村:塚原監督は言語化が早くてうまいんですよね。言葉数も多く伝えてくれるので、僕はとにかく相談の回数は多かったし、相談しても、わからない時は「わからない」と何度も言いました。言葉が難しすぎて、わからなかったことがいっぱいあって…。「ごめんなさい、どういうことかわからないです」と言うと、また違う言葉とか例えを使って、絶対に「とりあえずやってみましょう!」はない。“なんとなくこういうことだと思うので、ちょっと1回やってみます!”はあったけど、塚原監督から「とりあえず、やってみてください」という突き放し方は絶対しない。愛情深い方でしたね。
――ちゃんと伝えることを伝えてくれて、みんなで考えていくような現場だったのでしょうか。
松:そうですね。でも、現場はとても穏やかなスタッフも多かったので、にぎやかで、わっしょい!みたいな感じではなくみんな、それぞれの仕事を淡々としている感じ。居心地はよく、穏やかに、みんなで前に進んでいくような気はしました。
――今作は、大人の上質なラブストーリー。お2人は映画におけるラブストーリーの役割って何だと思いますか。
松:え~!なんだろう、何ですか?
松村:1番共通する“あるある”なんじゃないですか。ラブストーリーって。『スターウォーズ』より“あるある”じゃないですか「確かに!わかる!好きなった時こうだよね!」と。
松:なるほど。確かに“あるある”かもしれないです。
ORICON NEWS(提供:オリコン)
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