忠臣蔵、白虎隊、五稜郭!懐かしの年末番組『年末時代劇スペシャル』を振り返る!

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タレメREPORT2016年1月16日9:55 AM

2016年が始まり、年始と呼べる時期もあっという間に過ぎ去ってしまいました。紅白を見てお笑い番組を見て、ジャニーズカウントダウンを見て、初日の出を見に行ってそのまま初詣へ行って、帰ってきたらおせちを食べながらまたテレビを見続ける。

テレビで終わり、テレビで始まるそんな定番とも言える年末年始を過ごされた方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?一昔前、そんな定番スタイルの中に必ず組み込まれていたテレビ番組、それが日本テレビの『年末時代劇スペシャル』でした。

既に終わってしまった枠ではありますが、せっかくなのでご存じの方もご存じない方も、改めて年末時代劇スペシャルの歴史についておさらいしてみましょう。

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日テレ年末時代劇とは・・・?

年末と言えば紅白歌合戦です・・・よね?家族団欒でゆっくり楽しめる日本を代表するテレビ番組です。そして、それに対抗する形で生まれたのが、今回ご紹介する日テレの年末時代劇スペシャル。

その歴史は意外に短く1985年から1993年の8年間。にも関わらず、その世代の人たちにはなぜか深く心に残っています。実は、年末時代劇は90年までの5年間は、本丸である31日だけでなく、その前日の30日にも放送されていたのです。

30日という隙間日に「前半」を放送し、「後半」をお化け番組「紅白歌合戦」にぶつけることで、「紅白は見たいけど、昨日前半見ちゃったし後半のストーリーが気になる・・・!」と、見事に視聴率を上げる事に成功したのです。

日テレ時代劇の魅力

年末時代劇といえば里見浩太朗さんをはじめ、確かな演技力のおじさま俳優たちのダンディさが魅力でした。「仕事ができる」「信念がある」「時代や状況と闘う」男らしさや力強さや優しさを感じる事の出来る時代劇。年末のゆっくりしたひと時に、男性は、時代と闘った諸先輩たちの雄々しい姿を見て奮いたち、女性は凛々しさにうっとりする事が出来ました。

前後篇で長いものでは5時間半にも及ぶ超大作。映画2~3本分のボリュームでじっくりと、一つのストーリーを掘り下げます。そのため、従来の2時間ドラマなどでは描ききれないサイドストーリーや、登場人物の背景もしっかりと描かれ、それだけ感情移入もしやすいのが特徴。特に、当初は里見さんや森繁久彌さんなどメンバーも統一され、毎年豪華なメンバーで重厚な演技を堪能できる一大イベントでした。

初回から視聴率15%越え!

日テレ年末時代劇といえば、1985年『忠臣蔵』を思い出す人も多いのではないでしょうか?リアルタイムで視聴された方はもちろん、再放送やレンタル化もされているので、幅広い世代の方に親しまれています。

「吉良上野介」といえばひげをたくわえたおじいさん。そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?この「ひげの吉良」、この作品で森繁久彌さんが演じたためにつけられたイメージなのです。森繁久彌さんの吉良は、やはり様々な人に影響を与えたようで、アニメや漫画、バラエティのコメディなどでも、吉良上野介というとひげのおじいさんで描かれることが多いです。

この作品の特徴としては、基本的にオーソドックスな仇打ものでありながらも、これまで注目されなかった人に着眼したり、主人公の大石内蔵助が、主君への忠義心を持ちつつ、社会情勢や吉良側の立場を理解するなど、吉良側を完全な悪人扱いしない公平な視点も新鮮でした。

心に残る名作『白虎隊』!

翌年1986年末に放送されたのは、『忠臣蔵』の時代よりも少し後、幕末の戦乱を描いた『白虎隊』です。会津藩家老・西郷頼母に里見浩太朗さん、会津藩士井上丘隅に森繁久彌さん。白虎隊隊士の主人公格に、忠臣蔵で大石主税役を演じた坂上忍さん。大人たちの葛藤と無謀な戦いの中、散っていった少年や女性たちの哀しさは人々の心をつかみ、最高視聴率をマークしました。

西郷隆盛の生涯を描いた1987年『田原坂』、土方歳三と共に五稜郭で戦った榎本武揚の生き方を描いた1988年『五稜郭』。どちらもやはり年末は幕末です。『五稜郭』では盟友の土方歳三役に渡哲也さんなど、重厚なキャスティングも見ものでした。

1989年の『奇兵隊』は、幕末の動乱の中、信念を持ち病と闘い、日本の成長のためにも闘った高杉晋作を松平健さんが演じました。1990年は田村正和さん(病気のため、途中降板・実弟の田村亮さんが代役)主演の『勝海舟』と、ここまで5作連続で幕末もの。やhあり幕末好きは多いようです。

年末時代劇の陰りと迷走

時代劇自体が下火だった80年代ですが、『忠臣蔵』『白虎隊』と非常にスタートダッシュも良かったため、一気に「年末は幕末時代劇」という習慣が根付きましたが、実際のところ4作目5作目は少々低迷ぎみ。起爆剤を狙ってか、5作目の『勝海舟』ではヒロインの一人にアイドル女優として人気が高かった南野陽子さんを起用しています。

そして、6作目1991年の『源義経』からは二日連続というスタイルを廃止。さらに、トレンディ俳優、野村宏伸さんを主演に起用、ヒロイン役には安田成美さん、他にも若手俳優の武田真治さんの起用など、若年層のウケを狙う方向へシフトしていきました。

一方で、往年のファン層を取り戻すためか、弁慶役には里見浩太郎さんを再起用しています。1992年は、武田信玄の軍師・山本勘助を主人公に据えた『風林火山』が放送されました。こちらも田村英里子さんや小高恵美さんなど、若手ヒロインが起用されています。

最後の放送となった1993年『鶴姫伝奇 -興亡瀬戸内水軍-』はなんと、放送日が12月28日。枠としては年末時代劇でしたが、すでに紅白歌合戦との対戦は避けた形となってしまいました。

ヒロイン鶴姫役には国民的美少女、後藤久美子さん。逆に脇を森繁久彌さん、西郷輝彦さんなど、往年の「年末時代劇俳優」をキャスティング。最近の戦国系ゲームやアニメ、漫画などでも話題となっている水軍を舞台に、女武将鶴姫の活躍を描いた作品です。

実はこの鶴姫、実際は奉納されていた小ぶりの甲冑から連想された想像上の人物。史実にとらわれず、自由に作る事が出来るという利点もあったのでしょうか?

壮大な描写に、後藤さんの甲冑姿が凛々しく、視聴者の記憶に残る作品となりました。翌年の『第11回ATP賞」のトップ20に選ばれるなど、最後に一花咲かせた形となります。

年末恒例と思いきや、意外に短命だった日テレ年末時代劇。しかし、たった8年とは思えないほど、視聴者の記憶に残る番組でした。観たことの無い方は是非一度ご覧になってみてはいかがでしょう?

文/藤原ゆうこ

 

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