奢り奢られ論争、意識更新の必要性

エンタメNEWS2025年3月12日6:00 PM

『「女はおごられて当然」と思ってる昭和引きずり女が、婚活した話』(コニシナツコ著/KADOKAWA)

 絶賛婚活中の脇田アイコ34歳がマッチングアプリで出会ったのは、「1円単位のワリカン」年下男子・こうき。「女はおごられると大事にされてると感じるんです!」と主張しても「それって対等じゃなくないですか?」と返す彼に、固定観念を覆され、いつしか惹かれ始める…。古い価値観をひきずるアラサー婚活女子が、合理主義な理系男子との恋を通じて価値観をアップデートしていくラブコメディマンガ『「女はおごられて当然」と思ってる昭和引きずり女が、婚活した話』(KADOKAWA)が話題を呼んでいる。ネットでも度々論戦になる『奢り奢られ問題』に象徴される男女の価値観の相違について、作品に込めた想いを著者のコニシナツコさんに聞いた。

【画像】合理的思考の年下男子が遠回りして最寄り駅に送ってくれた…

■『「女はおごられて当然」と思ってる昭和引きずり女が、婚活した話』コニシナツコさんインタビュー【2】

――アイコはこうきと出会ったことで、いままでの付き合い方が男性と対等でなかったことに気づきます。このエピソードで伝えたかったこととは?

【コニシナツコさん】結婚して「扶養される」ということと「従属する」は別であるはずなのに、イコールであるという意識を持っている女性が多いのではないかと思います。アイコも「養われたい」、だから「選ばれなくてはいけない」「自分の方が弱い立場である」という考えが無意識の中にあり、男性に酷い扱いを受けても受け入れてしまうところがありました。家族の形として扶養制度を利用するとしても、それは「協力し合う」ためのものであるというのを男女ともに持てたらいいなと思います。

――よく言えば「正直で公正」、言い換えれば「超理屈っぽい」こうきが、正しさより大事なことに気づいていく描写は、読んでいてほっこりしました。こうきの変化について、どんな気持ちで描かれたのですか?

【コニシナツコさん】感情には左右されないロボットのようなこうきですが、やはり自分のことを理解してもらえることに喜びを感じていました。自分のことを理解しようとしてくれるアイコに出会い少しずつほぐされていくこうきも、結局人間らしいなと思いながら描いています。

――意識をアップデートすることは容易ではないと思います。自分を変えることの難しさや方法についてのご意見をお願いします。

【コニシナツコさん】アイコは自分自身がモデルだったのですが、私自身はこの作品を描くことで意識が少しずつアップデートされていきました。この作品の前身となる作品をSNSに上げたときに、賛否両論というか、様々な読者の意見を目にしました。中にはアイコに対してかなり攻撃的な言葉もあったので傷つきもしましたが、納得できる部分もあったりして、荒療治ですがそのおかげで過去の自分の考えがかなり偏っていたなと思うことができました。ただ一般の方がSNSに自分の考えを書いて炎上を経験するというのはお勧めしないので…常に自分の考えは間違っている可能性があると思いながら生きることですかね?正直、世の中に正しい答えなんてないと思っているので、時代や自分の状況で今正しいと思っていることも変わっていくなぐらいに考えています。感情的になっている瞬間はなかなかそう考えるのは難しいですが。

――コニシさんご自身が、最近アップデートされたことがあったら教えていただけますか?

【コニシナツコさん】奢り奢られ問題に関してはこの作品を描くことでかなりアップデートされたなと思います。ただやっぱり奢ってもらえたら嬉しいので、この辺りはまだ未熟なのか、それでもいいのか、自分自身悩み中です。自分の価値観を疑える様になっただけでもまずはよしとしたいと思います。

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