ミセスの爆発的ヒットを徹底分析

エンタメNEWS2025年2月25日10:00 AM

ストリーミングで爆発的ヒットを記録中のMrs. GREEN APPLE

 2015年7月8日にメジャーデビューし、今年10周年を迎えるMrs. GREEN APPLE(大森元貴(Vo/Gt)、若井滉斗(Gt)、藤澤涼架(Key))が、昨年来オリコン週間ストリーミングランキングを席巻している。とりわけ今年に入ってからギアが上がり、勢いは爆発的に加速。“多くの楽曲が長く”愛されることで記録を塗り替え続けている。ORICON BiZ onlineでは、“今、最も聴かれている”Mrs. GREEN APPLEのヒットの傾向を、オリコンのランキングを用いながら分析する。

【グラフ】ミセスが突出! TOP500合計再生数&ランクイン楽曲数の推移

 Mrs. GREEN APPLEは「オリコン年間ランキング2024 アーティスト別セールス部門」において、「デジタルランキング」史上最高金額となる73.0億円(そのうち、ストリーミングは95.7%を占める69.9億円)を叩き出し、自身初となる年間1位を獲得した。オリコンがストリーミングランキング発表を始めた2018/12/24日付から2025/2/10付までの「アーティスト別セールス(ストリーミング)」においては、歴代最高となる160.4億円の記録を打ち立てている。

 記録を深堀りしていく前に、Mrs. GREEN APPLEのこれまでの軌跡を簡潔に振り返ると、バンド結成からの「フェーズ1」(2013年結成~2020年7月8日)、1年8ヶ月の活動休止期間を挟み、2022年3月18日に活動再開以降の「フェーズ2」に分かれる。

 上記グラフは、Mrs. GREEN APPLEのストリーミング累積再生数上位10曲の月間再生数推移をプロットしたもの。色付きの折れ線グラフは各楽曲の月間再生数(単位は左軸)を、グレーの網掛けグラフはTOP500ランクイン楽曲の月間総再生数(単位は右軸)を示している。2020年(ベストアルバム『5』)、2022年(4thミニアルバム『Unity』)、2023年(5thフルアルバム『ANTENNA』)とデビュー記念日の7月8日近辺にアルバムをリリースし、それに伴って、ストリーミングのTOP500ランクイン楽曲累積再生数も毎年7月に大きな山を作ってきた(グラフのグレーの網かけ部分参照)。

 「フェーズ1」にも自身のストリーミング作品別累積再生数1位となっている「青と夏」(2018年7月12日配信開始/累積再生数6.3億回)を筆頭に、同曲のカップリング曲でありながら、カラオケのデュエット曲として定番化した「点描の唄(feat.井上苑子)」(2018年7月31日配信開始)、『第97回全国高校サッカー選手権大会』の応援歌として書き下ろされ、その後も“刺さる”歌詞で支持を広げて合唱曲の新定番となりつつある「僕のこと」(2018年12月26日配信開始)など多くのヒット曲を世に送り出してきた。しかし、活動再開後の「フェーズ2」以降、すさまじい勢いでストリーミング再生数を伸ばしていることがグラフから見て取れる。

■Mrs. GREEN APPLEが塗り替えたストリーミングランキング歴代1位記録の数々

 ここで、Mrs. GREEN APPLEが保持する、オリコンストリーミングランキング歴代単独1位記録、史上初の記録(集計期間:同ランキング発表開始の2018/12/24付~2025/2/10付)をまとめてみる。

■Mrs. GREEN APPLEが保持する歴代1位記録、史上初記録一覧

●週間ストリーミングランキングTOP100に10曲以上ランクイン:58週連続(2024/1/8付~2025/2/10付 ※継続中)
●週間ストリーミングランキングTOP100に10曲以上ランクイン:通算82週(※継続中)
●ストリーミングランキングTOP100内アーティスト別月間再生数:4.4億回(2025年1月度)
●アーティスト別セールス(ストリーミング)(2018/12/24付~2025/2/10付):160.4億円
●ストリーミングランキング アーティスト別1億回再生突破作品数:22曲
●週間ストリーミングランキングTOP100アーティスト別再生数9000万回超え:Mrs. GREEN APPLEのみ(2025/1/20付・2/3付・2/10付)
●週間ストリーミングランキングTOP500アーティスト別再生数1億回超え:Mrs. GREEN APPLEのみ(2025/1/20付・2/3付・2/10付)
●週間ストリーミングランキングTOP100に同一アーティストの楽曲が4週連続で20曲以上ランクイン:Mrs. GREEN APPLEが史上初(2025/1/20付~2/10付 ※継続中)

 上記の歴代1位記録からもわかるように、Mrs. GREEN APPLEのストリーミングヒットの特徴は、“多くの楽曲が、長く”聴かれ続けることにある。

 「週間ストリーミングランキング」TOP100に10曲以上ランクインした連続週数は「58週連続」(2024/1/8付~2025/2/10付 ※継続中)で、1年以上にわたって記録を更新中。2位(45週連続)に13週差、3位(19週連続)には39週差をつけていることでも、この記録のすごさがわかる。

 ストリーミングで大ヒットの目安となる累積再生数1億回超えを記録した「アーティスト別1億回再生突破作品数」も歴代1位の「22作品」(下表参照)。自身の累積再生数1位は代表曲「青と夏」の6.3億回(2025/2/10付現在)。「フェーズ2」の楽曲も次々と1億回を突破し、2024年リリースの新曲も短い期間ながら「ライラック」(2024年4月11日配信開始)、「コロンブス」(同6月12日配信開始)、「familie」(同8月9日配信開始)、「ナハトムジーク」(同1月17日配信開始)、「Dear」(同5月20日配信開始)の5曲が“億超え”となっている。

■Mrs. GREEN APPLEが保持する歴代1位タイ記録一覧

●ストリーミング5億再生超え楽曲数:4曲(YOASOBI、Official髭男dismと並ぶタイ記録)
●ストリーミング4億再生超え楽曲数:7曲(Official髭男dismと並ぶタイ記録)
●ストリーミング3億再生超え楽曲数:9曲(Official髭男dismと並ぶタイ記録)
●ストリーミング2億再生超え楽曲数:13曲(YOASOBIと並ぶタイ記録)

 「すべてが代表曲」とも言えそうなMrs. GREEN APPLEだが、新たな代表曲に加わったのが「ライラック」だ。怒涛の5ヶ月連続リリース第1弾として、2024年4月12日に配信開始となった同曲の初登場は14位だったが、同年7月に入って突如、再生数が跳ね上がった。

 登場13週目の同年7/15付(集計期間:2024年7月1日~7日)週間ストリーミングランキングで、意外にも自身初となる1位を獲得。同曲の7月の月間再生数が前月比1.5倍(6月:4192.0万回→7月:5855.4万回)に急伸すると、テレビで観ない日はないというぐらいの音楽特番での歌唱やバラエティ番組への出演、初のスタジアムツアーの話題性やSNSでのUGC(主にTikTok)拡散による相乗効果で他の楽曲の再生数増にも波及していった。

 2024年末の数々の音楽特番では、ファンならずとも「ライラック」をよく耳にしたのではないかと思われるが、同曲で「日本レコード大賞」を受賞し、バンドでは史上初となる2連覇を達成。『NHK紅白歌合戦』など数々の音楽特番で歌唱した効果も相まって、2025年に入って再び爆発的に勢いが加速した。25/1/13付(集計期間:2024年12月30日~25年1月5日)で11週ぶりとなる1位に返り咲くと、2/10付まで5週連続1位(継続中)をキープする驚異的な粘りを見せている。

 さらに、今年に入って配信リリースした最新曲「ダーリン」(1月20日配信開始)が、「ライラック」に次ぐ2位にランクインし、2/3付~2/10付の2週連続(継続中)で1・2位を独占。しかも2曲とも、大ヒットの目安となる週間1000万再生を2週連続で突破する快挙となっている。

 2/3付~2/17付の週間ストリーミングランキングでは、前出の2曲と、「ビターバカンス」(2024年11月29日配信開始)、「ケセラセラ」(2023年4月25日配信開始)、「Soranji」(2022年10月18日配信開始)の計5曲がTOP10の半数を占拠した。TOP10に入る楽曲は、リリースから1年以内の楽曲で占められることがほとんどだが、リリースから1年半以上経った楽曲が1曲のみならず、“複数”入る異例の強さを見せている。

 「ライラック」のヒットを起爆剤とした相乗効果により、2025年1月度の「ストリーミングランキングTOP100内アーティスト別月間再生数」は、歴代最高となる4億3960万3900回を記録した。2月にかけても勢いは増すばかりで、週間ストリーミングランキングTOP100に同一アーティストの楽曲が4週連続(2025/1/20付~2/10日付 ※継続中)で20曲以上ランクイン。この記録は史上初となった。

 さらにMrs. GREEN APPLEは、「週間ストリーミングランキングTOP100アーティスト別再生数」9000万回超え、「週間ストリーミングランキングTOP500アーティスト別再生数」1億回超え(ともに2025/1/20付、2/3付、2/10付)を記録した唯一のアーティストともなった。

 ORICON BiZ onlineで毎週レポートしている週間ストリーミングランキングの上位動向を示したグラフでも、Mrs. GREEN APPLEがいかにヒットを量産しているかが一目瞭然。2/10付(集計期間:2025年2月3日~9日)週間ストリーミングランキングでTOP500にランクインしたアーティスト別の合計再生数と楽曲数をまとめているものだが、合計再生数、楽曲数ともに突出している。

■Mrs. GREEN APPLEのストリーミング再生数急伸の要因とは

 Mrs. GREEN APPLEのストリーミング再生数が急伸した要因の一つとして、ファンの年齢層の拡大があげられる。ORICON BiZ onlineでは「2024年に新しく好きになったアーティスト」に関するインターネット調査を実施(2025年2月3日~10日)したが、新たにMrs. GREEN APPLEを好きになったと回答したのは、40代女性が最多、続いて50代女性だった(詳細は別途レポート)。

 好きになったきっかけを聞くと、「曲がいい」「歌がうまい」「歌詞の良さ」「曲を聴く機会が多くなり、好きになった」という理由のほか、「子どもがよく聞いていて、影響を受けた」という回答も。10~20代のコアファン層に加えて、親世代にも幅広く支持が広がっていることが見て取れた。

 また、夏・冬のシーズン定番ソングの愛され力もベースとなっている。2022年3月18日から始まった「フェーズ2」以降、「青と夏」は“夏うた”として定着。通常時は週間ストリーミングランキング30位~100位台で推移するなか、2022年夏の最高位は19位(22/7/11付)、23年夏は最高位7位(23/8/28付・9/4付)で8週連続TOP10入り、24年夏は最高位7位(24/8/26付)で通算7週(2024/8/12付~2024/9/2付)でTOP10入りした。同曲のヒットが、毎年夏の時期の再生数を跳ね上げる構造となっている。

 一方、“冬うた”として定着した感があるのは、活動再開後初のCDシングル「Soranji」(2022年10月18日配信開始、CDシングルは同11月9日発売)。同作は週間ストリーミングランキング初登場62位だったが、リリースから約2年を経て、24/10/14付で初のTOP10入り。25/1/27付では同曲最高位となる5位をマークした。同作以後、フィジカルのシングルは2年3ヶ月以上もリリースしておらず、「ケセラセラ」以降の数々の楽曲を、すべて配信のみのシングルとしてヒットさせているところが、ミセスの凄さだ。

 Mrs. GREEN APPLEは昨年12月、デビュー10周年に向けて「MGA MAGICAL 10 YEARS」企画を発表した。デビュー記念日の7月8日にはベストアルバム『10』とBlu-ray/DVD『Mrs. GREEN APPLE on “Harmony”』を同時リリースすることが決定。7月26日・27日には横浜・山下ふ頭特設会場でミセス史上最大規模となる2日間で10万人を動員予定のライブ『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE 〜FJORD〜』の開催なども発表されている。今後もさらなる爆発力で記録的な躍進を続けていきそうだ。

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カテゴリ

音楽

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